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自作を語る 第10弾 林木林さん(詩人・絵本作家)

自作を語る 第10弾

林木林さん(詩人・絵本作家)

 

 

『あかり』

文・林木林   絵・岡田千晶 

光村教育図書

 

 

  一人の人間の生涯と、一本のろうそくの一生。このふたつが並行しながら進んでいく物語。そんな絵本を作りたくて、ずっと密かにイメージを思い描いていました。小さなあかりをそっと灯すような、誰かの遠い想い出をめくるような……。頭の隅で時おり構想を膨らませながら日々を過ごしていた折、「いのち」をテーマに絵本の原稿を書いてほしいとのご依頼をいただいたのでした。私が考えていたろうそくの構想はまさに「いのち」のテーマにぴったりだと感じました。それを物語に書き起こし誕生したのが絵本『あかり』です。光と影を繊細に描き出される岡田千晶さんの絵によって、温かみのある心に寄り添う一冊になりました。

 主人公は一人の女の子が生まれた日に、初めて火を灯してもらった一本のろうそくです。火を点けてもらうと嬉しくて、炎を揺らし、やわらかなあかりで女の子をそっと包んで見守ります。ろうそくに火が灯るたび少しずつ成長し大きくなっている女の子。けれど、ろうそくは少しずつ少しずつ身を削り、輝いた分だけだんだん小さくなっていきます。

 ろうそくの灯すあかりは、暗闇をほのかに優しくする、暗さを溶かしこんで光るような控え目なあかりです。そのささやかでさりげない輝きは心の奥まで静かに届き、沈んだ気持ちを穏やかに明るくします。そんな小さなあかりのような、かけがえのない存在が、誰の人生にもそっと灯されているのではないでしょうか。目立たなくて、なかなか見つけられないことがあるとしても。

この作品がどこかで誰かの大切なあかりを見つけるための小さなあかりになれますように。(林木林)

 

 

〜〜ここからは、林木林さんに、ミニインタヴューです!〜〜〜

 

(1)『あかり』で一方の主人公とした「ろうそく」ですが、何か印象的な思い出をお持ちですか?

 

「ろうそく」にまつわる印象的な思い出は特に無いのです。「火」や「炎」まで広げると、そういえば、マッチ売りの少女みたいに、マッチを刷って炎の中に何か見えないかと眺めていたことがあったなと思い出されます。小さな炎のゆらめきは、何か秘密を隠しているようで、今でもロマンチックな趣を感じますね。

 

 

(2)林さんの中で、詩を書くことと物語を創ること、そこに共通する、もしくは大きく異なるのは、どのようなことでしょうか?

 

私は子供の頃に詩やお話を書いて遊ぶのが好きでした。やがて詩作から広がって、童謡、作詞、言葉遊び、俳句、川柳、短歌と、短詩形の作品をいろいろ書くようになりました。ですが、ジャンルの区別があまりできないのか、何を書いても詩を書いているような感覚になるんです。物語を創るときも、詩で物語を書いているようで、物語なのに、なんだかやけに詩的だったり、抒情的になってしまったり。そのあたりが私にとっての、詩を書くことと物語を創ることでの共通点ともいえそうです。大きく異なるのは、ストーリーを意識するかしないかでしょうか。

 

 

(3)最近は翻訳も手がけていらっしゃいますが、そのきっかけや理由について教えてください。

 

思いがけず、版元さんからご依頼をいただいたのがきっかけです。昨年から三冊ほど絵本の翻訳に携わらせていただきました。まさか私に翻訳のお仕事が来るとは思っていなくてビックリでした。三冊とも本当に素敵な作品で、関われることがただただ嬉しくて、思い切って挑戦してみたんです。最近また四冊目の翻訳絵本のオファーをいただきました。新たな挑戦にどきどきしているところです。(林 木林)

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