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『おとうさんのちず』

森 ふき さん( 子どもと本の間)からの

8月8日 児童文学ぞろ目の日!

『おとうさんのちず』

ユリ・シュルヴィッツ作 

さくまゆみこ訳 (あすなろ書房)

 

食べることがままならず、生きることが困難な時、人は何を支えに生きていくのでしょうか。音楽、本の一節、家族の写真。大事な人からもらった手紙かもしれない。『おとうさんのちず』は、生きるための希望を与えてくれたのが一枚の地図だった、男の子の話です。

戦争によって故郷を追われた家族。ある日、父親がパンを買いに市場にいったのですが、なけなしの金と引き換えに持って帰って来たものは、大きな一枚の地図でした。食べ物ではないことに、最初は怒っていた男の子も、父親が壁一面に地図を貼った瞬間から、その虜になってしまいます。地図を広げると目に入る様々な地名は、不思議な言葉の響きを持っています。主人公の男の子は、地図の地名をつなげて呪文を作ります。「フクオカ タカオカ オムスク……ペンシルバニア トランシルバニア ミンスク! 」これは、世界を旅する呪文です。行けないところはありません。灼熱の砂漠を歩いたり、冬の雪山に登ったり、ビルに囲まれた都会に降り立ったり。やがて大人になった少年は絵本作家として活躍します。

ともすると、日々の生活に追われがちの私達ですが、想像力はいつも傍らに寄り添っていることを忘れずに、小さな空想の芽は大切に育てていかなくては、と気づかされた一冊です。

(森ふき 子どもと本の間)

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