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自作を語る 第18回 ささき たかお さん “ジャズ 夏のはなしです”〜宮沢賢治が出会った洋楽はやり歌・ジャズ〜

自作を語る第18回

ささき たかお さん (ジャズミーブルース・ノラ 店主)

      

「“ジャズ 夏のはなしです” 〜宮沢賢治が出会った洋楽はやり歌・ジャズ〜」

〜〜このCDを聴くと、賢治の人物像がますます解らなくなるかも?〜〜

 

 宮澤賢治の作品に縁のある曲を当時のSPレコードから復刻しCDを制作された ささき たかお さん にご登場いただきます!

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「自作を語る 第18回」

ささき たかお さん (ジャズミーブルース・ノラ 店主)

「“ジャズ 夏のはなしです” 〜宮沢賢治が出会った洋楽はやり歌・ジャズ〜」

〜〜このCDを聴くと、賢治の人物像がますます解らなくなるかも?〜〜

 

 宮沢賢治の1925年(大正14年)の作品に「岩手軽便鉄道7月ジャズ」という詩があります。賢治の作品に「ジャズ」という言葉があると知った時の驚き。想像もできない「賢治とジャズ」という意外な組み合わせ。このことがきっかけとなり賢治の作品に登場する音楽について調べはじめました。深みにはまっていくうちにいろいろな疑問にぶち当たりました。

 例えば、戯曲「ポランの広場」第2幕(1924年・大正13年)に出てくる曲、♪Hacienda, the society Tango、そして♪キャッツホヰスカアってどんな曲だろう?日本語で歌われる♪フローゼントリーの元歌はどんな曲なんだろう?また、童話「セロ弾きのゴーシュ」に出てくる♪インドの虎狩りや、“愉快な馬車屋ってジャズか”というセリフの♪愉快な馬車屋の元歌は?・・・。

このようにして調べてみると、賢治はクラシックに造詣が深かったことは薄々知っていましたが、こういったタンゴや英国のホームソング、ジャズなど、いろいろな曲を聴いて知っていたのです。そして賢治はそういった曲の中からこれぞという曲を見つけると、すぐに口ずさんで替歌にしてしまうという才能を持っていたようです。

賢治の詩や童話の中に登場する様々なジャンルの曲、その元歌を、それも賢治が実際に聴いただろう時代に発売されていたSPレコード盤にこだわって捜してみよう。こんな興味からこのアルバムが生まれました。賢治が出会った音楽については、クラシックの視点でまとめられたCDはすでに発売されていますが、本企画のような視点で編纂されたCDは初めてです。賢治の音楽に興味持ったみなさんが奥へと入っていくと、必ずや聞いてみたくなる、そんなCDであったらいいなと思います。

(ささき たかお ジャズミーブルース・ノラ 店主)

                                         

〜〜〜〜 ここからは、ミニインタヴューです!〜〜〜〜

 

1)宮沢賢治を魅力的に感じたのは、どのようなきっかけ・作品だったのでしょうか?

 

 今年で確か34年目となった「遠野昔ばなし祭り」が初めて開催された年の2月、雪がもっさもっさ降る中を仙台からバスに揺られて遠野へ。長岡輝子さんが読んでくれた賢治の「紫紺染について」がとてもおもしろく、賢治に関心を持つきっかけになったと思います。

 ほかに「稲作挿話」の最後のことば、「・・・雲からも風からも 透明な力が そのこどもに うつれ・・・」が大好きです。

それから「グスコーブドリの伝記」など難解で読みにくい賢治の作品ですが、ますむらひろしさんの漫画版がより賢治を身近なものにしてくれました。

膨大な賢治作品、まだまだ読み切れていませんが、東北の訛りにちかい「オノマトぺ」(ものが発する音を表す擬音語、状態や心情などを表す擬音語)がたくさん出てくる賢治作品が大好きです。種山ヶ原でキャンプでもしながら読みふける時間を夢見ているこのごろです。

 

2)今回のCDの“元曲”を集める上で、大変だったことや印象的な出来事がありましたか?

 

 最初、CDの1曲目に収められている賢治の詩「岩手軽便鉄道 7月(ジャズ)」を読むときのバックに使われたという鈴木鎮一さんの「Gavott」(*注)とはどんな曲なのかを知りたくて、ネット・オークションで探し当てたのがきっかけとなりました。また、実弟・清六さんの記憶に「Flow Gently Sweet Afton」の譜が収められたOLIVER DISTON CAMPANYという出版社から出ていた「HOME SONGS FOR MIXED VOICES」というものが確かにあったという証言から、この楽譜集に何かほかの曲のヒントが隠されているのではないかと思い、カナダの大学に勤めている知人などにもお願いし、探し始めました。これも海外のオークションで手に入った時から、何かに取りつかれたように夢中になって他の曲も探し始めました。今思うとぞっとするくらい次々と手に入り、2曲目に収録の「Hacienda・・・」が見つかった時には思わず声をあげてしまいました。実は「Hacienda・・」は、研究者の間でも音源を見つけられていなかったようです。また「Hunting Tigers・・」はたくさんのバージョンが出ていて微妙なアレンジの違いが面白いですよ。未だに本命盤が見つからないものもありますが、なんとかこのような形でまとめることができました。

*注…賢治のメモに「Gavott / Jean Becker」と書かれていたことから、ガヴォット(仏語でGavotte)をここでは、「Gavott」 としています。

 

3)どんなに「音」のデジタル化技術が進化しても、結局、レコードはなくなりませんでした。レコードで音楽を聞く楽しさとは、どのようなものだと思われますか?

 

 最近レコードが再び人気を集めているようですが、その人気の秘密はレコード盤というサイズの存在感とビジュアルとしてのジャケット、そして聴くためにきちっとした時間をかけること(ゆとり、くつろぎの時間)にあると思います。

今回の作業で驚いたことは、SPレコードの場合蓄音器で聴くわけですが、よほどの新品の盤でない限り、使えば使うほど溝が削られてあのノイズ音がますますひどいものになってしまいます。実際手に入れた盤も相当ひどいものもありました。いろいろと試行錯誤していくうちに、一般のレコード・プレイヤーで78回転が駆動できるもの(ハウスDJ仕様のものは付いているものが多いようです)を使い、SP盤用の専用カートリッジを使用(LP盤とでは針先が溝に接する角度が違います)、さらにSP盤専用のフォノ・イコライザーというものを通して調整するとビックリ! LP盤を聴くような音質で聴くことができることを知りました。この感動はもうたまりません。

SP盤なのでSP盤らしいあのノイジーな音でいいのでは? とおっしゃる方もいると思います。実際賢治はそういう音で聴いていたとは思いますが・・・・。でもこのご時世、あの音では多分、何回も聞きたくはならないのでは? と思います。

今回のことがきっかけで、ため込んでいたジャズのSP盤を同じような方法でCD-Rに録音し、「SP盤で聴くマイ・セレクション」として楽しんでいます。

(ささき たかお・ジャズミーブルース・ノラ 店主)

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ささき さん! CDの紹介とインタヴュー、ありがとうございます!

9月21日は賢治の命日。賢治の作品に登場する曲を聴きながら、ゆったりと賢治の童話や詩を朗読してみたいなと思います。

 

「“ジャズ 夏のはなしです” 〜宮沢賢治が出会った洋楽はやり歌・ジャズ〜」(2,400円+税)は、次のところで販売中です。

 

仙台・・・ ジャズミーブルース・ノラ 

http://jmb.at.webry.info/  022-398-6088   (発送可  送料+180円)

岩手県 ・・・ 花巻イーハトーブ館 、林風舎、もりおか啄木・賢治青春館

千葉県 ・・・ハックルベリーブックス http://www.huckleberrybooks.jp/

東京都 ・・・ブックハウスカフェ  https://www.bookhousecafe.jp/p 

 

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