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『きつねとつきみそう』

ひなた あおい さん(幼稚園教諭)からの、
9月9日、児童文学ぞろ目の日!

『きつねとつきみそう』
作 こわせ たまみ
絵 いもと ようこ (金の星社)

 

  与謝蕪村の短歌「菜の花や月は東に日は西に」を国語で学んだ時に、1番最初に頭に浮かんだのがこの絵本だった。与謝蕪村は画家でもあった。だから、短歌でも絵のような歌を詠む、と先生は言っていたと思う。文法の間違いを承知の上で述べるのであれば、この絵本もそんな風に「絵のような絵本」なのだ。

  友だちになった子ぎつねのケンとノン。2人は1番初めのつきみそうが咲いたら待ち合わせようと約束します。しかし、嵐がやってきて、待てども待てども、ノンはやってきません‥。

  友情、約束、親子愛という絵本にとっての常套句を並べた作品であるはずなのに、甘くなり過ぎず、どこかすとんと胸の中に落ちてくる。子ぎつねは時計を持っていないから、きっと本当にこうやって待ち合わせるんだろうな〜と、仲良く遊ぶ子ぎつねに想いを馳せてみる。夏から秋の、そして昼間から夕方への、一瞬世界が白っぽくなる瞬間に、ぽっと花開く月見草。色鉛筆や水彩絵の具で淡く淡く、幾重にも重ねて描いた1枚の「絵」が物語の最終ページと重なる。
  絵があるのに、「絵」を想像できるとは何事かと思う方もあるかもしれない。しかし、その創造力の余地が作者・画家の技量のようにも感じる。
  この絵本は誰かに読んでもらって欲しい。愛する小さい人がそばにいる方は、是非その人に、自分の声で読んであげて欲しいと思う。
(ひなた・あおい)

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