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『もりのかくれんぼう』

ひなた あおい さん(幼稚園教諭)からの
10月10日、児童文学ぞろ目の日!

『もりのかくれんぼう』
作 末吉 暁子 絵 林 明子 (偕成社)

 

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  何より、はじめのお兄ちゃんとはぐれるシーン。私はここが秀逸だと思っている。お兄ちゃんたちの遊ぶ輪に入れなかった主人公ケイコ。そうそう、お兄ちゃんって本来こういう存在だったよね、と思う。(私に兄はいないのだけど)近年、親切丁寧で優しい“お兄ちゃん”が多すぎる気がしていたのだ。年上のしかも男の子が妹と遊んであげるなんて、早々あることではない。最終的にはちょっと面倒なのと、何だか気恥かしいのが相まって、妹は置いていかれる。この年頃の兄弟はそんなものなような気がする。

 

  そこから迷い込んだ森の中で、ケイコはたくさんの楽しくてちょっと不思議な出来事に出会う。その楽しさは絵本を開いてからのお楽しみ。分かっていてももう一度読みたくなるのは、さすがだ。“私だけ”が知っている、楽しい時間を過ごしたケイコは、ちょっと誇らしげに自分の日常に戻って行く。

 

  最後のページでは秋の夕陽の赤さや温かさや、夜になる前の肌寒さも感じる。思いっきり遊んで汗ばんだ体が、家に帰る間に少しずつ冷えていく。ほんの僅かな時間なのに大冒険をしてきたような気持ちになって、その日の夕飯を食べるのだ。

この絵本は、大人の中にある子どもだった時の自分を見つけてくれる。ちょうど、かくれんぼうしてるみたいに。見つけた時も、見つけられた時も嬉しい、そんなかくれんぼう体験を絵本を通じて味わってもらいたい。
(ひなた・あおい)

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