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『ふたつのねがい』

ほんまちひろさん(絵本作家)からの
11月11日 児童文学ぞろ目の日!

『ふたつのねがい』
作・絵 ハルメン・ファン・ストラーテン
訳 野坂 悦子 (光村教育図書)

 

  街に北風が吹きはじめ、先週、ケーキ屋さんで、いろいろなスノードームが売られているのを見つけました。そのなかに、吹雪のなかで、ぽつんと立っている雪だるまのものが目に入って、
「あ、これは、あの雪だるまだ」一冊の絵本を思い出しました。

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ガラスだまの中で、ずっとひとりぼっちの雪だるま。本棚の一番下で忘れ去られて、そのオルゴールも壊れたまま。
ある夜、やさしい歌声が聞こえてきました。
「こんや わたしと おどりませんか?」
雪だるまは、その歌声の主に会いたいと思いました。でも、ガラスだまから、外に出ることはできません。そのとき、時計についている金色の天使が魔法をかけて、1時間だけ、雪だるまをガラスの外に出してくれました。

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  続きは、ぜひ、絵本で。
  恋をしたものに訪れる、切ない覚悟の瞬間。自分だけの「ひとつのねがい」なのか、それとも、もしかしたら、「ふたつのねがい」なのか、どうか・・・。
  雪だるまが、ぽたぽたと溶けていく場面では、体じゅうで泣いているのが伝わってくる。もらい泣きしちゃう大人は、私だけではないと思います。
「恋」という人生の問題を、子どもが読める形でこういうふうに表現できるなんて、すごい。

   一人ぼっちの雪だるまのスノードームは、なんだか、さびしそうに感じる時もあります。でも、もしかしたら、さびしさには、これから始まる新しい物語がひそんでいるかもしれません。
 冬の夜、スノードームに雪を降らせて眺めながら、想像をめぐらせる。
物語は本の中で読むだけではなく、物を見てぼんやりと夢想する物語もある。また、本によってさらにその想像が、広がることもあって。その関係性が好きです。
(ほんまちひろ)

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