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【自作を語る 第21回 最上一平さん】

12月12日、児童文学ぞろ目の日!

【自作を語る 第21回 最上一平さん(作家・児童文学)】

作家ご自身による、ご著書の紹介! ミニインタヴューも!

  

『黄金の夏休み』
作・最上一平 絵・伊藤秀男(文渓堂)


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『黄金の夏休み』
  作・最上一平 絵・伊藤秀男 (文渓堂)

 

「黄金の夏休み」の舞台は大沼という集落です。朝日山地のふところで、山奥も山奥、この先に人の住む所なしという所です。今でも二十数軒の家があります。そこが母の実家で、
私は夏休みや冬休みはきまって大沼に行きました。大沼には好きないとこがいて、ふしぎな魅力がいっぱいあったのです。

 この絵本を作ろうとした動機のひとつに、叔母の病気があります。叔母は筋萎縮性側索硬化症(ALS)という難病に侵され、しだいに体が動かなくなりました。進行とともにコミュニケーションが難しくなり、私と妻は見舞いに行くと、枕元で本を読んでくることにしていました。
苦肉の策です。

 それで、叔母が子ども時代、娘時代を過ごした大沼の絵本を作りたいと思いました。大沼の絵本を読んだら、叔母の中に小さい時の思い出や風景がポッと現れて、それが叔母をはげましてくれるんじゃないかと思ったのです。

 絵は伊藤秀男さんにお願いしました。伊藤さんは大沼集落まで足を運んで、集落や叔母が育った茅葺の家(今はトタンをかぶせてある)を取材してくださいました。いろりのまわりで、みんなで弁当を食べたりもしました。ですから絵には一場面一場面、本物の大沼がぎっしりつまっています。

 こんなふうにして絵本は完成しました。ところが叔母は完成を待つことなく、数ヶ月前に亡くなりました。
 叔母の枕元で読むことはかないませんでしたが、私は絵本ができあがるとすぐに、叔母の仏壇に供えました。ちょっと残念な気持ちはありましたが、叔母はもう体も心も自由になり、笑いながら絵本をめくってくれているだろうと思いました。

 個人的な動機が創作のはじまりとはいえ、それにしても売れないなあ。話題にもなりませんでした。伊藤秀男さんごめんなさい。でも私には大切な絵本となったのです。
(最上一平 もがみ・いっぺい)

 

〜〜ここからは、一平さんにミニインタヴューです!〜〜

 

(1)最上先生の作品は自然や生物が題材となっているものがたくさんあります。
これまでも、大自然の懐に抱かれた「大沼」を想定して作った作品はあったのですか?

 

一平さん: 大沼という地名ではありませんが、大沼をイメージした作品はいくつかあります。「ユッキーとともに」(佼成出版社)もそのひとつで、ユッキーという飼い犬が死にます。ユッキーが産まれたふるさとに骨を埋めてやるために、少年がひとり旅をするという物語です。
 そのふるさとが雪の下という地名になっていますが、私の中では大沼なんです。雪の下には「百ばんちゃ」というひいおばあさんがいて、「花ちゃん」というおばあさんとあやとりなどします。すると、ふたりとも娘になったりするのです。花ちゃんはきつねなんですね。雪の下はふしぎな人たちがいて、ふしぎなことがおこる所なんです。
 大沼は山の中の大変辺鄙な所ですが、私にとっては魅力的な所ですね。

 

(2)『黄金の夏休み』は“個人的な動機が創作のはじまり”と今回の原稿に書かれています。
では、ほかの作品の制作は社会的動機であったり、あるいは「読者を楽しませたい」など書く目的が他者のため、という場合が多いのでしょうか。

 

一平さん: 社会的動機とか、目的とか、他者のためなどと思って書いたことはありません。あえていうなら、美しい人たちを書いてみたいという思いはあったかも。「百ばんちゃ」なんていうのも、91歳という設定で、しわくちゃのおばあさんなんですが、美しい人のように私には思われます。
 このごろはおもしろいものを書きたいと思っています。なかなかうまく書けずこまっていますが。

 

(3)「いいかげん もがみ通信!」という手書き新聞が本とは別に発行されています。
内容はそのまま絵本になりそうな面白い話ばかりですが、
創作物語以外に、こうしたエッセイのような形式の作品にも関心をお持ちでしょうか?

 

一平さん: あれはただのオチャラケです。今ではちょっと後悔しています。日ごろの無沙汰のお詫びの挨拶のつもりで本に同封しました。
 ところが、作品の評などそっちのけで、今回の通信はつまらなかったなどといってくる人が結構いるんです。オチャラケるのもだんだんくたびれてきたし、めんどうになってきました。でも、せっかくはじめたのだから、もう少しは続けようと思っています。
 人のエッセイを読むのは好きです。

(最上一平)

 

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一平さん!
ご著書の紹介と、ミニインタヴューありがとうございます!

最上一平さんの数々のご著書、ぜひ、本屋さんや図書館で。
寒い日は、おコタでミカンと「最上一平」
どうぞ、皆さま、黄金の冬休みを♡ (ぞろ目FB係より)

 

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