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『バッタの足』

 ほんまちひろ(絵本作家)からの、
12月12日 児童文学ぞろ目の日!

『バッタの足』
最上一平 作 西村郁雄 絵 (学習研究社)

 

なんと美しく、美しいものを、描きとってくるんだろう。
最上一平さんの作品は、最初の三行で、もう、いつのまにか、その世界にひきこまれて、山あいで私は風にふかれている。

『バッタの足』は、緑豊かな農村に住む少年 和好(かずよし)のまなざしから描かれた、7つのお話。
おじいさんが河原から運んできた石。雪の下から掘り出したキャベツの重み。小さなイチゴのすっぱさ。来年はきっと実ると父ちゃんがいうサクランボの木・・・。
物語にでてくる、ひとつひとつのモノたちが、人と人の心の奥の奥を、ふっと照らし出す瞬間。
村の人々や家族、誰もが持つ、しょうもないおもしろさと、それぞれの心の奥の奥の美しさ、その存在の愛おしさに、ぐっときてしまう。

はじめて『バッタの足』を読んだ時、感動して、実家の母に電話をかけて、こんな話、こんな話、と、短編集の一つ一つを語ってしまった。
最上さんの世界の美しさは、表面的なものではなく、土の上に立ち、見つめた、奥の奥から光るような美。
読むたびに、美しい映像が浮かんで、挙句の果てに、自分が短編映画の監督なら、カメラはここにおいて、むこうから少年が駆けて来て・・・、ハイ、カット!なんて、妄想までしてしまう。
大好きな大好きな1冊。

(ほんまちひろ)

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