こんにちは、「ぞろタイ」です!毎月ぞろ目の日を「児童文学ぞろ目の日!」として、児童書の作り手や届け手、絵本や児童文学を心から愛する人たちが、イチオシの児童書を紹介していきます。
ブックハウスカフェ・文学うさぎの研究所 Vol.2
巽孝之さんにきく(慶應義塾大学文学部教授)
オズの果てへの旅ーまたはアメリカ最初の童話ー
現代アメリカ人の心の故郷となった〈オズの国〉。新たなフロンティアを希求した時代の開拓者精神転じては帝国主義指向と、映画版の結末で主人公ドロシーが口にするリフレイン「何といってもわが家がいちばん」“There’s no place like home!” が表象する家庭小説的理念は、どのように共存しえたのか。映画『スター・ウォーズ』のあのキャラクターたちも『オズ』の焼き直しだった!? 巽孝之さんにお話しいただきます! お気軽にご参加ください。
2018年2月16日(金) 18:30 ~20:00
会場:ブックハウスカフェ(神保町駅A1出口から徒歩30秒)
参加費(1ドリンク付き): 一般1,500円・学割1,200円(中学生以下無料)
※『オズ』にちなんだモノを身につけてきた参加者に、もう1枚 ドリンク券プレゼント!
ライマン・フランク・ボーム(1856-1919)が1900年に出版した『オズの不思議な魔法使い』はシリーズ化の効用で大ベストセラーとなり、著者本人の肩入れでマルチメディア的舞台化が図られたが、さらには1903年にはブロードウェイ・ミュージカルとして上演され、1939年、ハリウッド黄金時代にはジュディ・ガーランド主演で『オズの魔法使』として映画化、オズの国は名曲「虹の彼方に」(Over the Rainbow)とともに現代アメリカ人の心の故郷となった。1977年に大ヒットしてシリーズ化されたSF映画『スター・ウォーズ』の主要キャラクターも『オズ』の焼き直しだった。2013年にはサム・ライミ監督がボームの『オズ』の前日譚とも呼ぶべき『オズ はじまりの戦い』を完成し、オズの大魔法使いがいかに生まれるに至ったかについて魅力的な物語を展開した。
『オズ』がアメリカ最初の童話であるのは疑いない。だが、それが書かれ評判を呼ぶ世紀転換期は、1890年には西漸運動が終わりフロンティアが消滅したのち、米西戦争や米比戦争を経て帝国への姿勢を露呈させたアメリカが新たなフロンティアを希求しようとした時代である。そうした開拓者精神転じては帝国主義指向と、映画版『オズ』の結末で主人公ドロシーが口にするリフレイン「何といってもわが家がいちばん」(“There’s no place like home!”)が表象する家庭小説的理念とは、どのように共存しえたのか。『モダニズムの惑星』(岩波書店、2013年)の『オズ』論をさらに刷新しつつ、その鍵を探る。(Takayuki TATSUMI)
巽孝之 (たつみ たかゆき)
1955年東京生まれ。コーネル大学大学院博士課程修了(Ph.D,1987)。慶應義塾大学文学部英米文学専攻教授。アメリカ文学思想史・批評理論専攻。日本アメリカ文学会第16代会長。北米学術誌The Journal of Transnational American Studies編集委員。著書に『サイバーパンク・アメリカ』(勁草書房、1988年度日米友好基金アメリカ研究図書賞)、『ニュー・アメリカニズム』(青土社1995年度福沢賞;増補新版2005)、『リンカーンの世紀』(青土社2002、増補新版2013)、『モダニズムの惑星』(岩波書店2013)、『メタファーはなぜ殺される――現代批評講義』(松柏社2000)、『盗まれた廃墟――ポール・ド・マンのアメリカ』(彩流社2016)など、編訳書にダナ・ハラウェイ他『サイボーグ・フェミニズム』(トレヴィル1991、増補新版2007、第2回日本翻訳大賞思想部門賞)、ラリイ・マキャフリイ『アヴァン・ポップ』(筑摩書房1995)、共編著に『事典 現代のアメリカ』(大修館書店2004)、編著に『反知性の帝国』(南雲堂2008)ほか多数。
※巽孝之先生の「巽」の漢字は、正式には“己”の部分が“巳”です。
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ご予約・お問い合せ: ブックハウスカフェ 東京都千代田区神田神保町2-5北沢ビル1F
TEL03(6261)6177 FAX 03(6261)6178 http://www.bookhousecafe.jp/
※イベントは予告なく変更になる場合がありますので予めご了承くださいませ。
協力:こうさぎ文学研究所(リコ&チヒロ)