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【自作を語る 第23回 下村健一 さん(ジャーナリスト)】

『窓をひろげて考えよう 体験!メディアリテラシー』
下村 健一 著・艸場 よしみ 企画 構成(かもがわ出版)

新発想のメディアリテラシー絵本を、

著者である下村健一さんにご紹介いただきます!

*ミニインタヴューが追加されました→

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【自作を語る  下村健一さん  (ジャーナリスト)】

『窓をひろげて考えよう 体験!メディアリテラシー』
下村 健一 著・艸場 よしみ 企画 構成(かもがわ出版)

 

あなたのお子さん、インターネット(特にスマホ!)と上手く付き合えていますか? 

容赦なく流れ込んでくる情報に振り回されたり、時にはダマされたり、していませんか?
ただ使用時間を制限するだけでは、使いこなせるようにはなりません。肝心なのは、情報の《受け止め方》(眼力や判断力)を身につけること。この絵本は、そのための教材です。

教材と言っても、堅苦しくはありません。ワクワクする、仕掛け絵本です。ページの真ん中に穴(小窓)が開いていて、次のページの絵の《一部分》が見えている。で、ページをめくってその絵の《全体像》が姿を現すと…あれれ、さっき小窓から見ていた時のイメージが、ガラリと変わっちゃった! そんなハッとする体験を次々に重ねていってもらいます。

例えば、小窓の中ではニュースのリポーターが、「人里にクマが出ました!」と報じている。でも窓をひろげてみたら…テレビ画面の外で、クマのリポーターが「クマ里に人が出ました!」と報じてる。ほら、《立場》を変えたら、見え方も変わるんだね。

その他、《順序》を変えたら…《瞬間》を変えたら…《情報源》を変えたら…と、ページをめくるたびに次々に新しい「視野の拡げ方」のコツが登場します。各ページの穴の大きさは、スマホの画面のサイズとほぼ同じ。――そう、僕が・私が持っているスマホの画面も、この穴と同じで、《部分》を伝えているだけなのかも知れない。これが全てだと鵜呑みするのは、まだ早いね! 絵本を楽しく見終えた後、あなたのお子さんがそんな感覚を無意識に身につけてくれたら、作者としては本望です。

これからも、情報ツールは急速に進化を続けます。より大量の情報が、勘違いも思い込みもフェイクニュースも入り乱れて、ドンドン私達の手元に流れ込んで来ます。でも、大丈夫。この《受け止め方》さえマスターすれば、この先どんな新ツールが現れたって、動じることはありません。

でも…実はこの本、穴をくり抜いたり、前のページの絵ときっちり位置を合わせたり…と制作コストが結構かかって、1冊2800円もするんです。子ども達が自力で買うのは、ちょっと無理。どうかぜひ大人の皆さんが、これからの季節の進学・進級祝いに、贈ってあげて下さい。きっと、一生モノのプレゼントになりますから。
(しもむら けんいち)

 

〜〜 ここからは、下村健一さんにミニインタヴューです! 〜〜

 

(1)本書では“多様な視点”の得方が扱われています。『想像力のスイッチを入れよう』では、“考える力”を扱っています。なぜ、今の子ども達にそれらが必要と考えられたのでしょう。短絡的な思考や物の見方が顕著になってきていますか?

 

下村:昔々から、子どもというのは「短絡的な思考や物の見方」をするものです。《自分》しか見えていない段階から、徐々に周囲の《社会》が見えていき、他者への目線や複眼的な見方ができるように成長していきます。

子どもの側のそのプロセスには何の変化も起きていないのですが、今、《社会》の側が激変し始めているのです。インターネット(特に、自ら瞬時・広範に情報をやり取りできるSNS)という、便利だけれど不慣れな道具が急速に普及して、大人達が「短絡的な思考や物の見方」に振り回されるようになってしまった。子どもは、大人の振る舞いを見たり諭されたりして自然に成長してゆくものなのに、そのお手本が右往左往していては、いわば方位磁石がクルクル動いてるようなもので、どちらが正しい方角かわかりません。

 「自然な成長」が危ういならば、その代役を果たす“不動の方位磁石”を提供したい。周囲の景色や事物を自分の目で見、自分の頭で考えて進むべき方向を判断する、その判断のベースとなる指針を提供したい。それが、この絵本をつくった目的です。

 

 

(2)情報取得・発信のツール(例えばSNS系のアプリ)が常に変化していくことに、親の方がキャッチアップできないという現実があります。情報リテラシー教育は、家庭や公共教育だけに委ねるのではなく、下村さんをはじめ専門家によるレクチャーが親子ともども受けられるようなシステムも社会的に必要ではないでしょうか?

 

下村:その意味では、必要な教育は大きく2パターンあります。1つは、新たなツールが登場するたびに、それに振り回されない正しい使いこなし方を学ぶ、いわば対症療法的指導。もう1つは、どんなツールが登場しようと変わらない、《そもそも情報の受発信とはどうあるべきか》を身に着ける、基礎体力強化的な指導です。そのどちらも大切で、しかも仰る通り、家庭や学校に委ねていては全く不十分です。

前者を担うべき「専門家」は、まず当然、その新ツールを開発した当事者…たとえば、Facebook社とかTwitter社で、実際に彼らの多くはそうした教育プログラムを(十分かどうかは別として)用意し始めています。例えば、LINE社の「ワークショップ/コミュニケーションを自ら考える」など。https://line.me/safety/ja/workshop.html 今後は、そうしたプログラムと子ども達とを出会わせる場づくりの加速と、プログラム内容自体の磨き上げが課題です。

 一方、後者を担うべき「専門家」は、まさに情報の受発信の威力から危うさまで全てをプロとして日々体感している、メディア業界人たちでしょう。現役組は忙しすぎ、定年組はSNSと接点が薄いですから、私のような中途転出組が、その一翼を担おうとしているわけです。

例えば私の場合で言えば、教科書(光村図書・小5国語)にこのテーマで執筆させてもらっている立場から、各地の小中高大学に、頻繁に出張授業に招かれています。(一部、動画も公開されていますので、ご覧ください。) https://find-activelearning.com/set/2867/con/2861 そういう時には、できるだけPTA講演会との共催にして頂いて、「教室の前で子ども達が、後ろで保護者達が聴いている」という形にし、まさに“レクチャーが親子ともども受けられるようなシステム”の実現を目指しています。

 

 

(3)最後に、下村さんご自身のことをお聞きします。「伝える」という仕事を選択した最も強い動機(理由)はどのようなものでしょうか。

(オフィシャルサイトの「初めての方へ」には、“自分の言葉で伝えている”という一文がありますが)

 

下村:別に、《動機》はありません。ただ、「伝える」のが《好き》だったから。それだけです。

で、それと背中合わせですが、「伝える」が歪むのが、とても嫌いです。単なる“情報キャッチボール”のエラーで、様々な誤解や対立が起きていくのを傍で見ると、交通整理をしに行きたくてウズウズします。

今、インターネットの発展で、そういうエラーは増える一方! デマやフェイクニュースがパンデミック(爆発的感染)を起こす前に、なんとしてもメディアリテラシーというワクチンを普及させなければ近未来の社会は大変なことになる、という切迫した危機感を抱いています。

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*仕掛けのイメージがわかる動画です ↓
https://www.youtube.com/watch?time_continue=9&v=YgVtcXvRtwY

 

*4月1日にブックハウスカフェ(神保町)で下村健一さんのイベント
「フェイクニュースにだまされない大人になろう!」がございます ↓
https://www.facebook.com/events/1424714217657859/

 

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下村 健一プロフィール ●1985〜/TBSアナウンサー〜フリー報道キャスター ●2002/総務省監修「小学生向けメディアリテラシー教材ビデオ」作成に参画、「うっきーちゃんのテレビふしぎたんけん」制作を手伝う●2006〜09/民放連「メディアリテラシー・プロジェクト」 派遣アドバイザーとして、各地の中学高校で熱血指導 ●2013.4〜/慶応大特別招聘教授、関西大特任教授を経て、現在 白鷗大客員教授 ●16年度〜/小5国語教科書(光村図書)にメディアリテラシーの説明文「想像力のスイッチを入れよう」掲載

★子どもむけ著書

『想像力のスイッチを入れよう』(講談社)

『10代からの情報キャッチボール入門』(岩波書店)

『窓をひろげて考えよう』(かもがわ出版)

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