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『日小見不思議草紙』

森ふきさん(子どもと本の間)からの、
9月9日、児童文学ぞろ目の日!

『日小見不思議草紙』

藤重ヒカル・作 飯野和好・絵

(偕成社)

 

蔵王の山の少し手前に、ぽつんとすり鉢をひっくり返したような山があって、名前をシシナゴ山といいます。「シシナゴ」という言葉の不思議な魅力に、幼い私は夢中になりました。この山には、おーんおーんと涙を流して泣いている大きなライオンがいるのかもしれない、それとも、シシナゴは4475という暗号で何か宝物が隠されているのだろうか……。実際には、シシは鹿、ナゴはイナゴのことで、鹿がイナゴのようにたくさんいたというのが由来だそうですが、空想に遊び、物語を考えるのは楽しいことでした。そんな幼い頃の記憶の引き出しを開けてくれたのが、『日小見不思議草子』です。

 日小見は自然豊かな城下町。この本は町に語り継がれている伝説を5話集めたものです。古呂田山のふもとにある忠明院という寺がたんぽぽ寺と呼ばれている理由。洪水を何度も起こす龍田良川をおさめるため一晩で作られたといわれる龍ヶ堰に伝わる竜と熊の戦い。伝説が、地理や史実と重ね合わさり、町の輪郭がくっきりと浮かび上がってきます。読み終わる頃には日小見はどの辺りかなと日本地図を開いてしまいそうですが、日小見は空想の町。心の中で想像を膨らませることにいたしましょう。

(森ふき 子どもと本の間)

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