こんにちは、「ぞろタイ」です!毎月ぞろ目の日を「児童文学ぞろ目の日!」として、児童書の作り手や届け手、絵本や児童文学を心から愛する人たちが、イチオシの児童書を紹介していきます。
ーーーーーーーーーーー
想像力を広げに広げて、じゃあ最後にどう元いた場所にに引き戻すのかという問いは、ファンタジーを扱う大人に常に付きまとう問題であるし、その解決方法で力量が試されるものだと常日頃感じている。そんな私にスカッと潔いアドバイスをくれた、そんな作品だ。
まず絵が可愛い。色味や絵のタッチを含めて、日本人作家の作品にはない“外国っぽさ”がいい。例えていうなら外国のお菓子のパッケージのような雰囲気で、絵本に「ジャケ買い」が存在するのであれば、間違いなく買われていく、そんな作品だ。次に、ストーリーの分かりやすさ。余計な設定も、前書きもなく、シンプルで、話に分からないところがない。明らかに「ありえない!」という展開でストーリーは進んでいくが、作品の中では自然と納得できる。ストーリーに軸があるのだろう。ブレないことで、ファンタジーがどっしりと腰を据えて成立している。最後に「オチ」のセンスだ。この作品を読んだときにある種の落語的な面白さを感じた。この「オチ」があることで、輪ゴムでなければいけない理由も明確になるし、なにより、それまでの突飛なファンタジーに圧倒的な安心感をもたらしてくれる。
どうだろう?読んでみたくなっただろうか?この作品は是非自分の手でページをめくって頂きたい。こんなに外国顔だが、読み終わると「御後がよろしいようで」と言いたくなる、そんな絵本である。
(ひなた あおい)