December 2018  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

【自作を語る 第26回 牧野綾さん(調布デイジー代表)】

【自作を語る 第26回 牧野綾さん(調布デイジー代表)】

 

『読みたいのに読めない君へ,届けマルチメディアDAISY』
編著:牧野綾 JLA Booklet no.2 (日本図書館協会)

牧野綾さんご自身にご紹介いただきます!ミニインタヴューも!

10月1日発売開始の出来立ての本です!

 

【自作を語る 第26回 牧野綾さん (調布デイジー代表)】

『読みたいのに読めない君へ,届けマルチメディアDAISY』(日本図書館協会)

みなさんはディスレクシアということばをご存知ですか?
私も娘がディスレクシアと知るまで知らないことばでした。

目や知能や、理解能力に問題がないのに字が読めないってどういうことなの?
「なんで」「どうして」という思いのまま、関連する本をたくさん読みました。
結果、「本の内容もこの障害自体も難しすぎてよくわからない」ということだけがはっきりと分かったのでした。

その後、私は調布デイジーというボランティアグループの代表として「マルチメディアDAISY」という、色々な障害があっても読みやすいデジタル図書を作るようになります。
DAISYを作りながらも、「著作権37条3項ってつまりどういうことなの?」や、
「結局学校にはどうやって説明したらいいの?」といつも頭に渦巻く疑問たちと共存しながら過ごしてきました。

わからないことがはっきりとわかったおかげで、
どうやったらわかってもらえるように説明できるかを考えるようになりました。

「読みたいのに読めない君へ、届けマルチメディアDAISY」は
何もわからないまま困っていた自分に、どうしたらわかってもらえるか考えながら書きました。

この本は調布デイジー10周年に向けて会員みんなで力を合わせて書いた本です。
(ちょうど2018年10月で創立10周年になりました!
支えてくださっているたくさんの方のおかげです!)

「読みたいのに読めない君へ」
「読みたいのに読めない君へ手を差し伸べたいと思っている人へ」
 少しでもお役に立ちますように。

(牧野 綾 調布デイジー代表)

ーーー

**ここからは、牧野綾さんにミニインタヴューです!**

(1)
「読みたいのに読めない」とはどういうことなのか、もう少し教えてください。

ディスレクシアという障害があると、字を字として認識することが難しいため、個人差はありますが字をすらすらと正確に読めません。
まったく読めないわけではないので、本人も周りの人たちも「もう少し勉強したら読めるようになる!」と頑張りすぎてしまいがちです。
この本ではディスレクシアのことを主体に書いていますが、「読みたいのに読めない」はいろいろな状態が当てはまります。
高齢になり文字を読みにくくなったり、視覚に障害があり印刷物が読めない、または読みにくい、体の障害がありページがめくれないなど…。
印刷物が読みにくいのに、必要な本が読める形で用意されていなくて読めない。
もちろんそれも「読みたいのに読めない」です。

 

(2)
調布デイジーでの活動が10年ですが、この間にようやく状況が好転してきたこと、逆に、依然として変わらない状況には、例えばどんなことがありますか?

調布デイジーは主にマルチメディアデイジー教科書の製作と、ディスレクシアの周知の為の講演活動などをしています。
調布デイジーが発足したときには、マルチメディアデイジー教科書は各個人のためにしか製作できず、教科書発行者からも支援はありませんでした。そのためボランティアが教科書をスキャンしたり写真を撮ったりして、画像を取り込み、文章は教科書の通りにテキスト入力し、用意ができたところでデイジー教科書の製作に取りかかっていました。
10年の間に著作権法が一部改正され、教科書バリアフリー法ができ、各個人のためだけではなく、製作したものを共有して提供できるようになりました。
教科書発行者に文科省へのデータの提供が義務付けられたので、教科書を作っているボランティアネットワークは文科省を介してデータを提供してもらえるようになりました。
ボランティアがマルチメディアデイジー教科書の製作をしやすい環境が整ってきたと言えます。
逆に言うと、読める形で教科書を提供することは国や各自治体の責任である。という教科書ボランティアネットワークの強い要望は10年の間変わらず聞き届けられていないということになります。

それ以外だと、発達障害の周知が以前より進んできたと感じます。
障害者差別解消法の制定など、法整備もあとから少しずつですがついてきています。

 

(3)
ディスレクシアの人たちが学ぶ機会を確保するためには、「DAISY」を備える以外にも、どんな環境整備が進むと良いでしょうか?

DAISYは読書ツールのひとつです。
リーディングトラッカーで読むところがわかるだけで読みやすくなる人もいますし、
タブレットを持ち込んで黒板を写真で保存したり、字を書くことが苦手だったら、パソコン入力してデータを提出するなど、学ぶには色々な選択肢があります。
学ぶ機会を確保するためにはツールを用意することのほかに、
「みんなと同じ方法で勉強しなければならない」という強い概念を払拭することがとても大事だと思います。
例えば学校と話し合ってタブレットを持ち込んで使えるようになっても、「○○さんだけ黒板を書き写さなくてずるい」って誰かに言われてしまったら、たとえその方法なら内容理解ができるようになっても使いづらくなってしまいます。
「目が悪いからってメガネをするのは見えるようになるからずるい」と言われているのと同じです。
皆さんに知ってもらうことで、当たり前のこととして支援を受けられるようになるといいなあ、と思います。


〜〜牧野綾さん、大切なお話を聞かせて下さり、ありがとうございます!〜〜

*調布デイジーのサイト https://www.chofu-daisy.org/

pagetop