November 2019  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

『ゆかいなゆうびんやさん』

ひなた あおい さん(元・幼稚園教諭)からの、
2月2日、児童文学ぞろ目の日!

『ゆかいなゆうびんやさん』
作・絵:ジャネット・アルバーグ、 アラン・アルバーグ
訳:佐野洋子  (文化出版局)

 

―――

幼い頃、大好きだった絵本。佐野洋子さんが訳してらしたなんて!作者のお二人は教員だったなんて!と、今回新たな発見が沢山あった。

登場人物は皆がよく知っている昔話の主人公たち。その人たちに郵便屋さんが届け物をする。手紙や広告や勧誘状など、届け物は様々だが、全て本物(?)が入っているのが、この絵本の大きな魅力の1つだ。
幼いながら、封筒を開け、中から手紙を出すのは何度やっても楽しいことで、大切だからこそ、とても丁寧に扱った絵本だった。絵の雰囲気はいかにも海外作品といった可愛らしさで、更に郵便物には外国らしいジョークが効いたものも多く、私にとっては新しい世界、ちょっと大人な世界だったように感じる。
仕掛け絵本というのは製本にお金がかかる。出版業界の不況ということを抜きにしても、コストのかかる絵本はあまり作りたがらないのが現状だ。しかし、開いた瞬間「わぁ!すごい!」「楽しい!!」と素直に思える絵本というのも良いものである。この絵本でいうと、主軸のお話の他に郵便物の中身一つ一つが受け取った登場人物たちのこれまでの生活とこれからの生活を予感させる。そこを想像しながら読むのがまた楽しい。一冊で何通りも楽しめる絵本になっている。

手紙を出すこと自体が減った今、ポストに何か届いてワクワクする気持ちすら、もしかしたら薄れてきている昨今なのかもしれない。昔、沢山届く父宛の年賀状が羨ましく、私はこれっぽっちか…と思ったことを思い出す。誰かからの手紙は嬉しい。そんな気持ちを思い出しながら、是非
時間をかけてゆっくりと、隅々まで絵本の世界を味わってもらいたい。
(ひなた・あおい)

pagetop