September 2019  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

『子ども文庫の100年  子どもと本をつなぐ人びと』

ほんまちひろさん(絵本作家)からの
3月の児童文学ぞろ目の日!

『子ども文庫の100年 

 子どもと本をつなぐ人びと』
盒脅一郎(みすず書房)

 

ーーーーーーーー

「子ども文庫」とは、子どものための私設図書室のこと。
家のなかの一角を子ども図書室として毎週決まった曜日に開放したり、庭に小さな建物を建てたりした「家庭文庫」と、公民館などでの「地域文庫」がある。
その先駆けは明治時代にはじまり、60〜80年代に女性たちの手によって、各地に大きく広がった。

子どもの本、児童書のことを考えるとき、この「子ども文庫」活動の歴史を抜きに考えることはできないと、思ってはいたが、
子ども文庫や読書活動の歴史と実態を、具体的にギュッとまとめたこの本の重みに、グッときて、泣いてしまった。

いまの、日本の子どもの本の文化は、どれほどたくさんの無報酬の活動によって、支えられてきたことだろう。
たくさんの人々の愛情がこもって、ここまで来たことに、あらためて感動する。
と同時に、そこをしっかりと見つめて、これからの児童書を考えていくことが、大事だと強く感じた。

一概には言えないが、親も子どもも忙しくなり、一戸建ての家はこれから少なくなっていく。そうすると、これまでのような子ども文庫は、少なくなっていくと思う。

そして、それは、子どもの本の流れに、影響していくと思う。

ならば、いまある文庫活動や読書活動を、もっと、応援するような支えていくような「何か」が、必要になってくるだろうし、
また、新たな活動を応援していくことも大事になってくるだろう。

例えば、著作権に関する許諾申請のことでも、
「子ども文庫で読むような、無料ならいいんだよ」とか言われそうだが、その無料で読むということが、今後、難しくなっていくと思う。
(いま、無料で行われていることは、関係者のものすごい努力の結果だと思ったほうがいい。)

そもそも場所には、場所代がかかる。交通費を参加費で工面しようとすれば、有料イベントになり、絵本を読むのに、使用料が発生する。その申請手続きの手間もかかる。
手間がかかる割に、有料にしてもよくてトントン。場合によっては足が出ることもあるだろう。

頭では、わかるのだ。
作品には権利があり、敬意をもって、使用料が支払われるべきだと。私も、絵や詩を書く人間だから、著作権の権利を主張する側でもあるし、わかるのだ。

でも・・・。
読書活動をする人だって、今日を生きるのに、一日分のお金は必要だ。水を飲むにも、トイレに行くにも、お金がかかる。
それで、絵本を読み手渡す人が減ってしまったら、絵本の文化は、どうなっていくだろう。想像すると悲しくなる。

児童書には、特殊性がある。

*子どもは自分で本を買えない。
*読む本を手にするまでに、少なからず大人の存在が必要である。

この児童書の特殊性をしっかり考慮して、著作権や申請やあれこれを、考えていかないと、ダメだと思う。

ちょっと話がそれてしまったかもしれないが、

いまの児童書の出版文化を支えてきた、子ども文庫や読書活動。それらの活動を応援し、活動しやすい基盤を、工夫の余地を、みんなで考えていけるような、児童書界であったらいいなぁと切に願う。

(ほんまちひろ)

 

pagetop