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『とりになったきょうりゅうのはなし』

ひなたあおい さん(元幼稚園教諭)からの、
6月6日、児童文学ぞろ目の日!

『とりになったきょうりゅうのはなし』
大島 英太郎 作 (福音館書店)

 

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 随分と前のことになるが、ひょんなことから、この作品の後書きで解説を書かれている真鍋真先生の講演を拝聴したことがある。恐竜界では著名な先生のようだが、奢るところも高飛車なところもなく、ただただ“恐竜好きな少年がそのまま大人になりました”といったような方だった。その講演の中で最も印象的だったのが演台にペットのイグアナを鎮座させながら、「鳥は恐竜なんです!!」と熱く語る姿だった。素人ながら、ほうほうと納得することばかりで、講演後、屋外に出た時に電線に止まっていたカラスを見て、「あれが恐竜なのか…」としばし感慨にふけってしまった。

 当たり前なのだが、世界は私たちの知らないことで溢れている。真鍋先生の話を聞くまで、当然ながら鳥が恐竜だなんて思いもしなかった。恐竜とは遠い昔に絶滅した生物であり、現代を生きる我々にとっては何なら人魚やペガサスと同じようなものだ、と私は思っていたのだ。しかし、確かに存在した“恐竜”は、形を変え、今も脈々とその存在を地球上に残している。空想上の人魚やペガサスとは似て非なるものだったのだ。
 
 科学絵本という類の物をあまり積極的に好んではこなかったが、大人になった今、それらは思っていた以上の驚きと発見を与えてくれることに気づかされつつある。鳥が恐竜だ、と言われた途端、そこから先の人生、見える景色は一転した。それは極上の物語を読み終わった後と同じようなものだ。物語やファンタジーが大好きだからこそ、食わず嫌いはしてはならない、と思うのである。

(ひなた・あおい)

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