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【自作を語る第28回:こまつ あやこ さん(児童文学者)】

【自作を語る第28回:こまつ あやこ さん】

7月7日、七夕の今日は、

こまつあやこ さん(児童文学者)から、

デビュー作でもあるご著書、
『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』

(講談社)をご紹介いただきます!

 


さて、このタイトル、どんな意味があるでしょーか♡

 

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【自作を語る こまつ あやこ】

『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』
こまつあやこ作(講談社)

はじめまして。こまつあやこです。『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』は私にとって初めての本です。
この長いタイトルは、マレーシア語で5・7・5・7・7の意味です。そうです、短歌を題材にしたお話です。マレーシアからの帰国子女の沙弥は、日本の中学校で先輩に誘われて短歌を詠み始めます。
私のマレーシアとの出会いは、主人公の沙弥と同じ中学二年生のときです。家族旅行でマレーシアに行ったのですが、マレー系、中国系、インド系の人々が一緒に暮らしている街の様子にとてもカルチャーショックを受けました。それまで感じたことのないワクワク感が湧きあがって、それ以来7、8回くらい旅行で訪れています。マレーシアが好きすぎて、社会人になってからはマレー語を習っていました。ほんとうに片言しか話せませんが……。
一方で、短歌もまたカルチャーセンターで習っています。教室では皆さんが詠んだ歌を一首ずつ味わい、とてもアットホームな雰囲気です。あの温かい雰囲気があったからこそ生まれた作品だと思います。作中に、莉々子(主人公を短歌の世界に連れ込んだ先輩)が通う歌会が出てきますが、これは私の通う教室の雰囲気がモデルです。短歌を通じて様々な人とつながれる時間は、とても貴重で楽しいなと思います。
5・7・5・7・7の短歌は全部で31音。作中では31という数字が何回か登場しますが、私がこの作品で講談社児童文学新人賞をいただいたのも31歳。登場人物だけでなく、作者にとっても特別な数字になりました。
最後に、「この本のタイトルはどう発音するの?」としばしば聞かれるのですが、私の発音が正しいかは分かりません。(マレー語を習っていたのに笑。)それでもきっと、大らかで優しいマレーシアの人たちは笑って許してくれるんじゃないかなと思っています。  
(こまつ あやこ)

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ここからは、こまつあやこさんに、インタヴューです!

(1)中学生を主人公にしたいわゆるYAというのは、なかなか届けるのが難しい分野と思います。初めての本ということですが、なぜYAからスタートすることにしたのでしょうか。

一番書きたいジャンルだったからです。
自分が中学生の頃に初めてYAを読み、こんなに楽しくて心に寄り添ってくれる本があるんだと驚きました。
そこからYAを書きたいと思い続けてきました。
確かに、なかなか手にとってもらうのが難しい分野だと思います。
だからこそ、書き手としても図書館司書としても10代の人たちとYA作品をつなげるように努力していきたいです。

 

(2)小説という枠の中で短歌の魅力を伝えるむずかしさ、さらに異文化多様性を盛り込むのはかなりチャレンジングだったのではないでしょうか?

書いているときは、あまり難しく考えずに、「短歌が好き、マレーシアが好き」という気持ちを物語のなかに詰め込みました。
異文化多様性は初めから意識して描こうとしたわけではなく、書いていくうちに自然と盛り込まれる形になりました。

 

(3)本文中、近代図書館の理念であるランガナタンの「図書館学の5法則」 に触れていますが、ご自身ではどういう部分に感銘と共感を覚えたのでしょうか。

「図書館は成長する有機体である」。大学の頃に、この一文に涙が出るほど(笑)しびれました。
図書館は建物や資料だけでなく、働く人と利用する人がいることで進化していくんだなと共感しました。
ランガナタンに感銘を受ける学校司書の七海さんの心情には、そんな自分が投影されています。

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【プロフィール】
こまつあやこ:1985年生まれ。東京都中野区出身。
清泉女子大学文学部日本語日本文学科卒業。卒業後は公共図書館や学校の図書館の司書として勤務。2017年『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』で講談社児童文学新人賞を受賞。2018年同作でデビュー。現在も公共図書館に勤務。

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こまつやこさん!
トゥジュ・トゥジュの日に、素敵な作品をご紹介いただけて、
ありがとうございます☆

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