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『雨、あめ』

ひなた あおい さん(元幼稚園教諭)からの
7月7日、児童文学ぞろ目の日!

『雨、あめ』
作 ピーター・スピア(評論社)

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梅雨明けが待たれる昨今、毎日のどんよりした天気に気持ちまでどんよりしてしまいがちだが、雨の日はこんなにも魅力的だったんだ!と気がつかされるのがこの絵本だ。文章のない絵本はあまり好んでは読まないが、これは文章がないからこそ、物語の世界がより鮮明になっていると感じる。読み進めながら、まるで雨の音が耳の中でこだましているようだった。
イキイキとした絵と場面の絶妙な割り方の効果で、まるで動画のように楽しめる。漫画やバンデシネの類とはまた違うのだろうが、これらの良い点と絵本の良い点のいいとこ取りなようにも感じた。絵についての専門的な知識は持ち得ていないが、画家としてあらゆる技術や工夫をこの一冊に忍び込ませているのだろう。
そんな苦労はつゆ知らず、読み終わった私はつい自分も、レインコートと長靴で外に飛び出したくなった。雨に濡れた紫陽花の葉を裏返してみたくなった。雨のシーンだけでなく、家に帰ってきて、暖かい部屋で積み木を楽しむ所まで描かれているのも素敵だ。雨に濡れることも、その雨に濡れた体を拭える場所があることも、また雨の日の魅力なのだろう。子供の頃はこんな風に雨の日も楽しんでいたなと思い出させる、そんな作品である。是非梅雨明け前に。
(ひなた・あおい)

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