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『本の子』

ちょこりん さん(公共図書館司書)からの、

8月8日、児童文学ぞろ目の日!

『本の子』
著 オリヴァー・ジェファーズ ,サム・ウィンストン
訳 柴田 元幸 (ポプラ社)

 

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『本の子』は、作者のオリヴァー・ジェファーズとサム・ウィンストンが、フルビネクに捧げた絵本である。

フルビネクは、アウシュビッツ収容所で生まれた、口がきけない3才の男の子。名前がなかったため、フルビネクと呼ばれていた。

「フルビネクは、一九四五年初旬に死んだ。彼は解放されたが、救済されなかった。彼に関しては何も残っていない。彼の存在を証言するのは私のこの文章だけである」
(プリーモ・レーヴィ 竹山博英訳『休戦』1963年 
*『本の子』に記載された文章)

『休戦』の著者でユダヤ人であるプリーモ・レーヴィは、第二次世界大戦中、ナチスによりアウシュビッツ強制収容所に入れられていた。
そこで、フルビネクと出会ったのだ。

しかし、この『本の子』は、アウシュビッツ強制収容所の悲惨さを描いた絵本ではない。

フルビネクも、出てこない。

絵本の表紙の絵は、鍵がかかった赤い本の上に座っている透明人間のような女の子。
この本の中で、読み手を40以上の名作の世界に誘う「本の子」である。

最初のぺージの絵は、ペン、インク壺、何も書かれていない紙。
ぺージをめくる度に「本の子」に導かれて、読み手は言葉の世界の旅を進める。

そして旅の最後には、ある真実が待ち受けている。

たとえ身体や思想、表現の自由が奪われたとしても、決して奪われない自由があるという真実。

(ちょこりん)

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