September 2020  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

『しろいうさぎとくろいうさぎ』

橋爪千代子さん(ちょこりん/ライブラリーファシリテーター)からの、
6月6日、児童文学ぞろ目の日!

『しろいうさぎとくろいうさぎ』
ガース・ウィリアムズ 文・絵
松岡 享子 訳  (福音館書店)



人種差別への抗議デモ隊前を前にして、膝をつき頭を下げる警官隊。

アメリカで起きたこの現実の場面は、絵本「しろいうさぎくろいうさぎ」の世界を見るようです。

広い森の中に住んでいるしろいうさぎとくろいうさぎは、毎日一緒に楽しく遊んで暮らしていました。

でも時々、くろいうさぎは、目を伏せ、耳をたらし、悲しそうな顔をします。

「どうかしたの?」
しろいうさぎがその訳をたずねると、いつもこう答えます

「うん、ぼく、ちょっと、かんがえてたんだ」

自分の悩みをいつも「考える」と表現するくろいうさぎ。

しろいうさぎは、くろいうさぎの心にさらに寄り添おうとします。

「さっきから、なにを そんなに かんがえているの?」

「ぼく、ねがいごとを しているんだよ」

しろいうさぎの問いかけで、くろいうさぎは、自分の悩みごとの先の真の願いに気づき、それを話す勇気が出ました

くろいうさぎの願いとは、「しろいうさぎといつまでも一緒にいたい」ということ。

「ねえ、そのこと、もっといっしょうけんめい ねがってごらんなさいよ。」

このアメリカの絵本は、必ずしも人種差別を扱ったととらえなくてもよいかと思いますが、自分と見た目や立場が違う他者の真の願いをくみとり、それに共感できるならば、その気持ちに応えることが不要な争いを平和へと転換させることができるのだという作者ガース・ウィリアムズの強いメッセージが伝わってきます。

絵本の最後は、しろいうさぎとくろいうさぎが鮮やかな黄色のタンポポの花を耳にさし、森のほかのうさぎたちといっしょに結婚式のダンスを踊る場面です。
森の他の動物たち、クマやタヌキも、ダンスを見にやってきます。
明るい月明りの中でのダンスは、一晩中続きました。

一晩中というのは、永遠のよろこびです。

デモ隊を前に、地面に膝をつき頭を下げた警官隊。
この感動も、永遠です。

(橋爪千代子・ちょこりん)

pagetop