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『水晶玉を見つめるな!』

  5月5日 ほんまちひろさん(絵本作家)のぞろ目の日!


『水晶玉を見つめるな!』
作 赤羽じゅんこ ・ 絵 藤川 努 ・講談社

  2016年の新しい本。
現代っ子の小学4年生の駿介(愛称・タワシ。髪がツンツンしてるから)が、川で拾った水晶玉で「うらない屋」遊びをするところから物語は始まる。最初は遊びだったのに、だんだん、妬んだことや呪ったことを、水晶玉が叶えてくれるようになり…。


占いという古来よりある言葉。励ますも、呪うも、惑わすも言葉。インターネットという便利な魔法を手に入れた現代社会の問題を、魔法の水晶を手に入れた子どもたちを通して、小学生の身近な問題とつなぎながら問いかける。ネットの書きこみによるお笑い芸人の脅迫事件にからめ、名前(これも言葉!)が1つの答えとして示されるのが印象的だ。タワシの親友・拓真のセリフから…


   「人は自分だってわからないと思うと、自分のすることに甘く なるんだって。(中略)
   名前を名乗れるようなことだけを、するようにしろって。ほら、ぼくの名前の拓真の『真』の字 は、
   まことって意味で、お父さんが考えてくれて…」
   「けっ、名前の自慢かよ。(中略)」 駿介は鼻で笑う。


どんな社会になっても、子どもにとって、信頼する大人(親)からの語りかけが大切な情報であること、もっとも大事な情報は「良心」とは何か、ということ。なるほどと思う。

懸命に考え、大切なことを掴みとっていく主人公 タワシ。子どもたちの活き活きとした会話と、少年が駆け抜けていくような快活な文章で、読み終えると、生きてく元気が心に届く。そして、また読みたくなる。「今の子どもたちに届けたい」という想いが文体にも、漫画家による親しみやすい挿絵にも込められている。

私は、タワシくんがタンクトップをひっぱって、水晶を拭く仕種と、
水晶を割ろうとする前に、新聞とタオルを敷くところが、好き。

古典的名作だけでなく、現代の新作もやはり必要。読み継がれ、いつか古典となる日本の児童文学。
 
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